2016年トヨタ財団国際助成「アジアにおける加害者家族の現状と支援に関する共同研究―日本、韓国、台湾を中心に―」
「忘れられた被害者」または「隠れた被害者」と呼ばれる加害者家族。重大事件の加害者家族が、自責の念から自殺に至るケースが報道されながらも、加害者家族を対象とした支援について、社会的に議論されることはほとんどなく、あらゆる支援の網の目からこぼれている存在だった。
日本では、2008年、特定非営利活動法人WorldOpenHeartが加害者家族支援を始め、身近なトラブルから重大事件まで、さまざまな状況にある加害者家族の支援を経験してきた。2015年、韓国ソウルにおいても児童福祉実践会セウムが受刑者の子どもたちの支援を開始し、日韓共同支援体制の構築に至った。家族連帯意識の強いアジアにおいては、欧米諸国における加害者家族とは異なるニーズも想定されることから、それぞれの国の加害者家族が置かれている現状と課題について、研究者と支援に関わる実務家が、問題を共有し、アジア型の加害者家族支援モデルの構築を試みる。
2017年日本司法福祉学会にて報告
「加害者家族支援の意義と展望―日韓の加害者家族支援の理論と実践を通して―」
報告
「日本における加害者家族の現状と支援」
阿部恭子(特定非営利活動法人WorldOpenHeart理事長)
「修復的正義からの考察―加害者家族の子どもの人権を中心に」
宿谷晃弘(東京学芸大学准教授)
「犯罪加害者家族の子どもたちの現状」
小宮純一(ジャーナリスト)
「加害者家族への心理的支援」
駒場優子(臨床心理士、府中刑務所処遇カウンセラー)
「加害者家族へのグループアプローチ」
相澤雅彦(臨床心理士、府中刑務所処遇カウンセラー)
「韓国の民営刑務所と家族の回復及び支援プログラム」
キムムエル(希望刑務所課長)
「韓国における受刑者の子ども・家族支援の実践と課題―児童福祉実践会セウムの経験を中心に―」
李京林(児童福祉実践会セウム理事)